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「大草原の歌声 喉歌に魅せられて」

スポニチ北海道版 コラム「あの人この人北海道とってお記」 より


★4★ 強い「共鳴」 − デュオ「タルバガン」が誕生

(1998年 9月5日掲載)


 喉歌は、唸るような声に加えて、笛のような高い音で同時に旋律を奏でる歌唱法である。この独特の音楽に魅力を感じる人々は、程度の差こそあれ互いに「共鳴」することが多い。今回は、大阪の大学院生の等々力氏と、独立して電子出版社を営む田原氏、そしてこの私の三人の間に起きた、非常に強い「共鳴」のことを書こうと思う。

 96年3月末、私の運営する喉歌のホームページに一通の電子メールが届いた。初めまして、に続いて、いきなり内モンゴル北部にも喉歌があるらしいという情報が延々と続いていた。この差出人こそ、トゥバ共和国の喉歌ホーメイに魅せられ、何度も現地を訪れては民謡を集めている等々力氏であった。彼はそのころ喉歌の演奏活動も始めていた。喉歌に魅せられた「不良」大学院生がもう一人いると知って妙に嬉しかった。早速彼との間で喉歌情報のやりとりが始まった。

 翌97年、独立して電子出版業を始め、等々力氏のトゥバCDロム写真集を発行した田原氏が、大阪から江別に引っ越して来た。北海道出身の彼は、新しい仕事の拠点を故郷に移したのだ。田原氏は、等々力氏を通じて、喉歌に強い関心を持っていた。

 97年の暮れ、田原氏は札幌で喉歌の演奏会を企画し、友人の等々力氏を大阪から招いた。ある日三人で雑談している時、共通のレパートリーに気づいた等々力氏と私は、すぐに合奏を始めた。お互いにトゥバの伝統曲を日本人と合奏するのは初めてのことで、大いに盛り上がった。

 これを契機に等々力氏と私は喉歌デュオを結成した。デュオの名前は、モンゴルやトゥバに棲む地リスに因んで「タルバガン」とした。今年の四月には田原氏の元からデビューCDを出した。

 今年七月、タルバガンは喉歌の本場トゥバへと向かった。国際喉歌コンテストに参加するためである。

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のどうたの会 嵯峨治彦 thro@sings.jp