● ぽ  ん  日  記 ●

〜 前編 〜

 

◆7/30(土)くもり

 4時半、目覚まし時計の無情な一喝を頼りに、なんとか起床。ばたばたと旅支度をして、家を出る。早寝の人にも徹夜の人にも分け隔てなく明るい、すばらしい朝だ 。ぼ〜っとしながら荷物を抱え、バス停まで黙々と歩くこと10分。「さて、出発の記念に一枚」とデジカメを取り出した瞬間、息が止まった。・・・メモリーカード、入れ忘れた・・・・・。しかし、今さら取りに戻るという選択肢はあり得なかった。とりあえず、同じスケジュールでツアーに参加するSくんのデジカメをあてにすることにして、よろよろと新千歳空港への直行便に乗り込む。

 新千歳空港は、濃霧に包まれていた。こんなんで、飛ぶのか?(ドキドキ)と、一気に不安になる。MIAT(モンゴル航空)が、今日の分のウランバートル直行便を、1週間前に突然15:30発から13:30発へ2時間前倒しにしたため、新千歳〜羽田〜成田空港までの移動中、乗り継ぎのどこかで30分でもロスしたらアウトなのだ。

 ありがたいことに、多少遅れはしたものの8時10分にはなんとか無事離陸、9時35分には羽田空港に到着した(ドキドキ)。ダッシュで荷物の受け取り口へ。第2ターミナルからの距離がいつもの倍に感じられる。祈るような気持ちで人混みをくぐり抜け、目標だった9:53発の快特エアポート成田空港行きへ駆け込んだ。

 Sくんの機転で、途中特急に乗り換える。当初の予定より5分早い、11:52、成田空港着。ふうう、どうにか、間に合った。

 夏休みのせいか、空港は家族連れでごった返していた。出発ロビーへの移動の流れに身を任せながら、SくんとMIAT遊びに興じる。

   M   I   A   T

 S「まだ いっぱい あるよ つらいこと」
 私「もう いやだ  あたし たえられない」

 長蛇の列に加わりようやくチェックインした後は、出国審査を通って搭乗口へ。パスポートの内容に変更があったため、チケットとの照合でトラブルんじゃないかと内心ヒヤヒヤしていたが、その件に関してはまったくノープロブレム。

 

 安心したら、急にお腹がすいた・・・おお、そう言えば、朝からなんにも食べてないじゃんか!時計と睨めっこしながら売店に走り、冷たいビールとサンドイッチ、おにぎりを購入する。搭乗案内のアナウンスを聴きながら、同志Sくんと「いざ出陣」の祝杯。

 MIATは、定刻より35分遅れの14時5分に離陸。まあそれはあいかわらずのモンゴル時間ということでけっこうなのだが、びっくりしたのは、スチュワーデスの愛想の良さ。口の両端が上がっている・・・、つまり微笑んでいるのだ。しかも乗客に向かって・・・!?・・・間違い探しを当てたような、妙な気分。うさんくさそうに見下ろされた3年前とは、打って変わったものだ。後日耳にした話では、日本人のスチュワーデスを講師に招いて、MIATのスチュワーデスに接客研修させたらしい。なるほどね・・・。

 
(交差法でご覧下さい・・・ウソ)

 15:00、乱気流でひと揺れした後、機内食。食事の前後はひたすら眠る。思えば、昨夜はほとんど寝てない。

 18:50、ウランバートル到着。モンゴルでの入国審査も思いの外すんなり。なあんだ、・・・ほっ。

 到着ロビーでは、ツアーに添乗してくれるモンゴル情報紙しゃがぁ代表の西村さんが出迎えてくれた。そこで、今回スタッフとして同行してくれるピチピチキュートなKちゃんや、ツアー参加者2名と合流。何やら達人っぽい雰囲気を醸し出している札幌の大学生Tくんと、歯切れの良い話し方をする千葉美人のYさん(女性)だ。

 さっそく、モンゴル側のツアー受け入れ旅行社「ハシ・シャガイ」のワゴンで、ツアー参加者が宿泊するホテルへ向かう。

 20:30、ホテル着。みんなで夕食。
ここで合流したのは、今回のツアーに同行するもう一人の日本人スタッフで元気アイドル風の美少女Tちゃんと地元のモンゴル美少女D、そして残り2名の参加者、スーパーマルチなKさんと乗馬大好きというIさん(ともに快活な年配のご婦人)。

 夕食後、明日の段取りを確認してから、現地参加者のKさんやSくんと私は、スタッフの女の子たちと一緒に西村さんちへ移動。車窓から眺める夜のウランバートルは、明るい時とはまた別の退廃的なムードに満ちている。一見、3年前のモンゴル滞在の続きをやり始めたような感じ・・・。


◆7/31(日)くもり

 ウランバートルの西村さんちで迎える灰色の朝は、やっぱり、まるで3年前の続きのようだった。

 Sくんと一緒に、今年5月に急逝したハシ・シャガイ社のシンジェーさんの家を弔問するため、スタッフや他のツアー客たちとは別便で出発。シンジェーさんには、前2回のゴビ・ツアーで大変お世話になった。お線香をあげた後、遺影の前でSくんが「ヘンティの高き山々」を馬頭琴で弾いた。シンジェーさんが好きだった曲。

 11:00、タヒセンターへ移動。さて、今回初めてツーリストゲルなるものに宿泊する。案内されてびっくり!ベッドだよ〜・・・!4つも入れてある。しかも、テーブルの上にはポットとカップが・・・。なるほど、こういうことか〜。トイレもシャワーもあるとのこと。電気はウランバートルから引いてるらしい。まるでオートキャンプ場ではないか〜(個人的には草原ルールに基づいた青空トイレの方が好きだし、草原にいるなら1週間くらいシャワーを使えなくても全然苦にならないので、それほどありがたくもないが)


<こちらは男子ゲルの内部。ベッド3つ。>

 13:00、昼食はレストラン。日本人からすると食堂的な雰囲気だが、モンゴルでいう食堂(ゴアンズ)とは確かに趣が異なる。出された料理は、・・・普通に美味しかった(←これはこれでけっこうすごいと思うんだけど、残念なことに、これという「モンゴル料理」はいっさい出なかった!)。

 

 まもなくして、どしゃぶりになった。ツーリストゲルのスタッフの話によると、最近めずらしくこんな雨降りの天気が続いているのだとか。ひととき、ゲルの中で、参加者の方々と自己紹介などをしながらくつろぐ。

 

 19:00、夕食。食後のアイスクリームの盛りが極端に不公平だった。

 

 夕食後は、スタッフと参加者でなぜか山登りをすることに。レストランのオープンスペースの背後に広がる草原づたいに、小一時間ほどずんずん上って行った。頂上で折り返し降りて来た頃には、もう夜の9時半。10時までは夕方のように明るいので、時間の感覚がずれる。腹ごなしにはなったが、けっこうきつい。

 

 ゲルに戻る途中売店でビールを仕入れ、女子ゲルでは小宴会&Sくんによる馬頭琴のミニコンサートが催された。

 こうして草原初日の夜は更けていった。

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たなかたかこ TANAKA "pon" Takako